【劇場版・中二病でも恋がしたい!】2人の関係の行き着く先は【感想レビュー】

中二病でも恋がしたい!

あの京都アニメーションが手掛けたラブコメアニメであり、作画はもちろん、普通のラブコメアニメかと思ったら、非常に中身の濃い独自性のあるアニメだったので、感想レビューを書いていく。

今回の記事は「劇場版・中二病でも恋がしたい!Take on Me」だけに焦点を当てて感想を語っていこうと思う。

もちろん、ネタバレは含むのでそこらへんは注意。

概要

高校3年間近の春休み。

富樫勇太は相変わらず小鳥遊六花と共同生活をしていたが、いまだ上位契約も結べていなかった。

そんななか、姉の十花が唐突に六花をイタリアに連れて行くと宣言。

2人が引き裂かれてしまうと心配した丹生谷らは、勇太に駆け落ちを提案し、

十香から逃げることに。

そんな2人きりの逃避行の中で、勇太と六花は互いの関係、そして六花自身が抱えている中2病について深く悩み、考える。

その末にある2人だけの答えはどこにあるのか。

そこまでの道筋が観ることのできる、まさに「中2病でも恋がしたい!」の完結編となっている。

現実を直視することの困難さ

まず、小鳥遊六花は1期にて、父の死が受け入れられずに、その現実逃避として中2病になり、邪王真眼という設定を作った。

そしてその原因となったキーマンが、ダークフレイムマスターこと富樫勇太である。

しかし、その邪王真眼を手放し、不可視境界線とやらを見つけ出し、

1期の最後には「さよなら!」と、父との死別を受け入れることができた。

そこから無理をして現実と向き合おうと決めたのか、眼帯も外し、普通の女子高生に戻ろうとした六花。

しかし、そこから富樫は「このままつまらないリアルに戻るのか!?」と問いかけ、結局は邪王真眼はもとに戻ってしまった。

中2病でもいいじゃない

しかし、本人が中2病という妄想の中で生きるのは私は良いと思う。

現実はつまらないと感じるのはしょうかない。

だからこそ自分で設定を作って、妄想の中で的と戦い、自分の好きな世界を作り出していく。

それは傍から見たら「イタイやつだ」とか、数年後に思い返して「恥ずかしい~」と悶絶しそうになることもあるかもしれない。

しかし、そんな中2病を貫く立花の姿勢と、「どんなときでもお前のそばにいる」という、中2病であろうとどんなお前でも好きだという勇太の六花への情熱こそが、

六花を六花らしく生きることの救いになったのだと思う。

姉の優しさ

姉の十香は「中2病の六花の将来が心配だ。」とも言っていたが、富樫勇太はそれでも六花に中2病を治すことを矯正することもなく、ありのままの六花を認めてあげた。

まぁ、姉の十香はおそらく、六花を最初からイギリスにつれていくつもりは最初からなく、勇太が六花に対してホンキでどう思っているのかを、試してしていたのかもしれない。

そして勇太は、駆け落ちという形で六花への思いを行動で示した。

勇太を好きになるほど、力が弱まっていく

このアニメは、中2病という妄想と現実との折り合いがつけられない六花の葛藤が最大の見所で、

勇太を好きになればなるほど、恋愛をしようとするほどに、邪王真眼の力が弱まっていく。

つまり、恋愛という現実と向き合えば向き合うほど、自分のアイデンティティである中2病がなくなっていくことへの恐れ。

そして、その中2病がなくなれば「勇太は、私のことを好きでなくなってしまうのではないか?」という不安。

姉の十香や周囲の人からは、六花はずっと妄想の中で何も考えずに中2病ごっこをしているように見えていたのかもしれないが、六花は勇太と恋人関係になってから、ずっと自分の患っている中2病についてずっと悩んでいたのだ。

仲間たちの協力

実際、七宮というかつての勇太の中2病仲間であった少女は、勇太に対して恋愛感情をいだき、恋愛というリアルと、中2病という妄想の狭間で思い悩んでいたが、最終的には魔法魔王少女として生きる道を選んだ。

富樫に戦争を挑んで、勇太への好きな気持ちを捨てようとしたあの時に、不意に優しく傘を持ってきてくれた富樫の優しさに涙をこぼしたシーンは印象深い。

そこからは七宮はもちろん、丹生谷、凸守、五月七日(つゆり)らは、富樫と六花との関係が進展しないのを心配して、色々と手をかけて背中を押してくれた。

そんな仲間たちの協力もあってこそ、最終的には富樫が六花に対して「俺はずっとお前のそばにいる」とハッキリと六花に対して思いを伝えることが出来たのだ。

富樫勇太は、中2病でも恋がしたい!

そんな七宮はもちろん、丹生谷を中心に六花と富樫の恋愛の背中を押してくれて、結果的に富樫勇太は、十花に「中二病でも恋がしたい!」とメールで送った。

既存の恋愛関係にとらわれず、勇太と六花だけの恋人関係を築いていこうと決めた。

元中2病である勇太は「なんでこんなやつを好きになってしまったんだろう…と思うときもある。」と言う。

しかし「こんなヤツだからこそ、俺は六花を好きになったんだ!」と言う。

中2病は面倒で、イタくて、周囲からは浮いて、時には疎外感を感じてしまうこともある。

しかし、そんな元中2病であるダークフレイムマスターと、中2病である邪王真眼だからこそ2人は結ばれ、2人だけの関係を築くことが出来たのだと思う。

中2病という周囲からは浮いていて、恋愛などできそうもない女子高生による革新的なラブコメディアニメ。

凸守と丹生谷の絡みや、普段の日常での中2病バトルも面白くて笑いもありつつ、

「中二病でも恋がしたい!」というタイトル通りの恋愛を繊細に描いた名作アニメだった。

ちなみにU-NEXTなら全シリーズ観ることができるので、改めて観たいと思った方はそちらで観てほしい。



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