伝わる・揺さぶる文章を書くために必要なこととは【書評】

読書

ブログは文章で相手に行動しうてもらったり、勇気を与えたり、役に立つ情報を提供したり様々な役割を持つ。

その根底あるのは、「心を揺さぶらせる」ということ。

心が揺さぶったから行動する、勇気が出る、実生活にその情報を活かしてより良い人生を送るための手助けをする。

大げさだが、これがブログの役割だと思う(まぁ、自分のために書くブログもあるので一概には言えないが)。

その上で文章の書き方というのは非常に大事になってくる。

この本では、文章をどう考えながら書くか、文章が外界にどう意味を持つかなど、文章の書き方について非常に細かくレクチャーしてくれる本だ。

今回は、文章力のない私なりに、この本から吸収したことをざっくり要約していこうと思う。

この記事はこんな人にオススメ

・ブログや文章を書いている人
・心を揺さぶらせる文章を書きたい人
・文章を書く際に考えることは?

問いを立てる

まず文章を書く際に考える超基本的なこと。

それは「問いを立てる」ということだ。

これはブログをしている人ならわかると思うが、「読み手は、私の文章に何を求めているのか?」ということ。

これが文章を書く上での基本となる。

例えば今書いているこの記事は、「この本の要約記事が読みたい」という人、「良い文章が書きたい」と思っている人に向けて、求められているものを書く必要がある。

まずは問いを立てる。

その上で、「この問いに対して自分はどう答えを出せばよいか。」ということを考える必要があるのだが、これが死ぬほど難しいと個人的には思う。

そこで本書では、答えを真っ先に出そうとするのではなく、「問い」の方に目を向けて、それを細分化するということ。

例えば、私が書いたこの記事。

「映画を倍速視聴することの弊害」というテーマで書いたのだが、結果的には「もったいない」という陳腐な結論にしかたどり着かず、良い生地とは言えなかった(だったら消せという話にもなるがw)。

この理由は問いが大きすぎたからだ。

まずは問いを細分化させる。

「映画ってどんな時に観るのだろう」「今の若者にとって、映画というものをどう認識しているか」「映画の製作者は、実際にどういう気持ちで映画を作っているのだろう。」など、様々な角度から問いを浮かび上がらせてみる。

その次は、それらの小さな問いに対して、情報収集をしたり、自分の頭で考えることで、自分なりの答えを出していく作業。

これはブログに限らず、小論文、議事録などの他の文章の形にも応用できることだ。

内面を顕在化させる、他人の受売りはNG

ただ、考えるという作業は非常に面倒くさい。

情報収集は、ある程度やることは決まっているので思考停止でもできるが、文章を書く際は「自分はどう思うか。どう感じたか。何を主張したいか。」を明確にする必要がある。

しかし、その「考える」という作業をススメた先に見えるモノは何だろうか。

それは「自分の意志」だ。

他人の文章を切り売りしているようでは、自分の意志が見えずに「面白くない」文章ができてしまう。

いわば、書き手の魂がこもっていないので、読み応えがないのだ。

だから「考える」という自分の頭の中でする作業は非常に重要になってくる。

自分の意志だけでなく、具体的な解決策を提示する

そして次に重要なのは、「自分の意志」だけでなく、具体的な解決策を提示するということ。

これもブロガーなら当たり前のことのように思うだろうが、

私はブログ初心者で「私はこう思う!はい終わり!」という形で終わってしまう記事が多いので常に意識しておきたいこと。

ブログ記事はまさに、「なにか悩み事やわからないことがあって、それを知るために検索して、悩みを解決した時」に初めて市民権を得るものだ。

だから、自分の主張だけではなく、「私はこう思う(意見、主張)。理由は○つある(理由、論拠)。だからこうすべきなが良いのではないだろうか(改めて主張、問題提起をする)。」

中学生の時に習ったような内容ではあるが、具体的な解決策を提示するというのは、ブログを書く上で常に意識したいことだ。

常に考え続け、「揺らぎ」を持ち続ける。

文章を書く際には、「考える」ということが必要となる。

私が本書で印象に残ったのが「何か話をするときには、お互い心のどこかに揺らぎみたいなものがないと議論にならない」という部分。

この揺らぎというフレーズ。

自分の頭で考えるとは、常に「揺らぎ」続けるということでもある。

絶対というものを持たず、不安定なまま、自分の内面と向き合う。

そして、周りの人間や状況に応じてベストな答えを出していこうとする。

それが思考というものであり、文章を書くということだ。

しかし、私たちは無意識のうちに思考停止に陥りやすい。

ゆらぎを止めて、揺るぎないものに腰を下ろしたほうが楽だからだ。

自分の内面と向き合い、一つの問いに対して考え続けることは、非常に難しい。

だからこそ、自分の思考停止ポイントに気づく必要がある。

思考停止ポイント

では、その思考停止ポイントはどこにあるのだろうか。

それは

①他人の言葉にする
②学識やデータ
③ボキャブラリー

一つずつ解説していく。

①他人の言葉にする

まず第一の思考停止ポイント。「他人の言葉にする。」

これは、「〇〇さんが言っているように、」というように、なにか意見を出す時に誰かの名前を出して、権威のある人や求心力のある人の言葉にすがりつき、自分は何も考えない。

確かに、専門知識のある人や権威のある人の言葉は説得力がある。

しかし、その言葉を自分で咀嚼せず第三者に発しているのは、まさに思考停止のポイントだし、

何より、それは自分の存在意義がない。

自分が文章を書くことによって外界に対してどんな役割を果たすのか?

それを考えながら文章を作っていかないと、心を揺さぶる文章は書けないのだ。

②学識やデータ

先程は他人の言葉を使うということを言ったが、これも同じように、科学的な知見、学識やデータも思考停止ポイントになりやすい。

学識やデータは「100%正しいもの」として認識されやすい。

本来は学識やデータというのは、議論を進める手助けのツールとして、あくまで補助的な役割で使用するものだ。

しかし、学識やデータを、有無を言わせず相手を言い負かす材料になることがある。

それが思考停止ポイントの2つ目。

③ボキャブラリー

また、自身のボキャブラリーにも思考停止ポイントがある。

これのわかりやすい例が、女子高生だ。

女子高生は基本的に何を観ても、「かわいい~」「やば~」「それな~」の女子高生・三種の神器だけを使いこなしながら会話をする。

この、なんでもかんでも「かわいい~」などと連発して片付けてしまっていると、自分の中の「揺らぎ」は止まってしまう。

対象に対する観察、自分の中のゆらぎが、「かわいい~」といった瞬間に止まってしまうのだ。

「自分が対象に対してどう感じたか、どこに魅力を感じたか」など、こういったことを言語化するのは非常に難しい。

私もアニメの感想記事を書いているけども、「ここが面白い」とか「ここが素晴らしい」などとしか言えず、なかなか苦しんでいる。

面白い、素晴らしいという言葉に逃げていたのだ。

一般的で、普通で面白くないアニメ感想記事というのは、こういう面白いみたいな誰でも使うような言葉を連発している記事だ(自虐)。

だから、私のような人がこれから実践すべきなのは、こういった「素晴らしい」「面白い」という言葉を使用することを禁ずることだ。

その先に心を揺さぶる、唯一無二の自分だけの文章ができるのだろう。

以上のような思考停止ポイントは、「自分が正しい」と思って自分の中に浸透しているモノであるだけに、つい見逃してしまいがちだ。

だからこそ、以上のポイントに気をつけながら文章を書く必要がある。

自分を貫き、相手(読み手)と関わる

そして最後に、「自分を貫きながら読み手と関わる」ということ。

時に、自分の考えや意志を表した時、周囲から理解されずに孤立したり、出る杭は打たれるように非難を浴びることもある。

しかし、自分の内面を偽りなく表し、文章という形で外界と関わる。

かといって、人から見られる自分ではなく、自分が目指す自分に合わせて書くと、読み手が求めていることがなくなることがある。

それを防ぐためには、読み手のことをよく理解し、その先に何をするか?だ。

例えば、相手がモノトーンが好きで、いつも白黒の服を着ている場合、あなただったら何をあげるだろう?

そこで相手の要求を聞いて、その要求に沿ったモノをあげるのもいいだろう。

しかし、それは「相手は放っておいても自分でそれを買ったかもしれない」ということだ。

つまり、自分が相手(読み手)と関わる意味は何だろう?と考える必要がある。

そこであえて、白黒ではなく、「赤」をあげてみるのはどうだろう。

相手が「今まで赤の服は来たことはなかったけど、なんだか新しい自分を発見したようなきがする。」と言ってくれると、とても嬉しいし、私という存在が相手と関わる意味があるだろう。

つまり、自分という存在が関わることで、相手の新たな引き出しを開けるのだ。

もちろん、このやり方は外れることもあるだろう。

だからこそ、慎重に、勇気を持って、自分が相手に向き合う意味がある。

これはコミュニケーションにおいても文章においても同じことだ。

自分が文章を書くことによって、自分の内面をいかに顕在化させるか。

自分が文章を書くことによって外の世界にもたらすものは何か。

自分が文章を書くことによって相手にどんな作用をもたらすのか。

自分にしか書けないもので、相手にとってかけがえないのない意味を持たせるのが文章なのだ。

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