いい子症候群という言葉を知っているだろうか。
・周りと仲良くでき、協調性がある
・学校や職場では横並びが基本
・人の意見はよく聞くけど自分からは言わない
・自己肯定感が低い
・ルールには従う
・競争を嫌う
・特にやりたいことはない
世間では「マジメ」「素直」と言われる若者のことを本書では「いい子症候群」という言葉でその特徴を示している。
この本は私のような大学生、上記の特徴が少しでも当てはまるような若者は今すぐにでも読むべき本だと思う。
今の若者の心理傾向、その背景が詳細に記されている。
結論:いい子症候群の若者は、究極のヨコ並び思考
結論としては、今の若者は「究極のヨコ並び思考」だということ。
例としたらわかりやすいのが高校や大学の授業風景だ。
彼らは同級生とは異様なほどに早く仲良くなる。
持ち前のコミュ力で、「孤立してはいけない。周囲と浮いてはいけない。」と思って、新しいコミュニティの中でもすぐに友達をつくる。
こういったヨコの繋がりは強く意識する一方で、
例えば、授業が始まって、教師が生徒に「君はSNSの使い方についてどう思う?」と聴くとする。
この後、いい子症候群の学生はなんと答えるだろうか。
答えは「固まる。」「わかりません。」の二択だ。
「どう思うか」を聴いているのにもかかわらず、それに対する返答は残念ながら返ってこない。
歴史の年号のような明確な答えがある場合はともかく、
教師というタテにいる立場の人間に対しては極端に恐れているので、「こういったら笑われるかな。」「間違ってるとか思われないかな。」という不安が常にあるのだ。
また、授業でわからないことがあっても教師には聴かない。極力、生徒の間で解決しようと頑張る。
授業中にも手を挙げる生徒はほぼいない。指名されても答えは返ってこない。教師が気の毒だ。
つまり、同級性間のヨコの結びつきが非常に強いのだ。
これが若者にとってどんな問題を引き起こしているのか。
競争より協調、協調より同調
いい子症候群の若者は競争が嫌いだ。
ヨコ並び思考が強いので、同級生の間でなにか順位付けをされることを極端に嫌う。
とにかく目立ちたくない。100人の中の1人でいたい。
この気持ちは、私自身よく分かる。
ここで私の学生時代の自慢話をすると、私は学校で行われる模擬試験は、1年から3年の退学する前までずっと1位をキープしていた。
そのこともあって周りからは「すごいね」とか「あの人ヤバイよね(←褒め言葉?)」などと言われていたりして、嬉しかった。
しかし、それと同時に、目立つことが少しむず痒いような感じもした。なんか俺みたいな人間が持ち上げられているのが気持ち悪い。
また、自分が集団の和を乱しているような感じがする。
だから、テストの順位などが張り出されることに、次第に不快感をおぼえ始めたのだ。
とにかく目立ちたくない、教師も生徒も、放っておいてほしい。
こう感じる理由はなぜか。
それは1位という輝かしく見える成果と、自分の自信のなさとのギャップだ。
この本のタイトルをここで回収することとなる。
先生、どうか皆の前でほめないで下さい。
皆の前で褒めてほしくない。自分はそんな人間じゃないから。
これが、今の若者の競争嫌いを顕著に表している。
その原因は「自己肯定感の低さ」「自信のなさ」なのだ。
彼らは競争よりも、同級生と協力してなにかを成し遂げる協調の方が好きだ。
文化祭や体育祭などの行事がわかりやすい。
特に対立もせず、皆となんとなく協力しながら、共通の目的に向かって努力する。
それ自体はすばらしいことだ。しかし、この協調はすぐに同調に変わる。
協調は、他者と歩調を合わせ、力を合わせて課題を乗り越えるということだ。
それ自体は悪くない。
しかし、若者の目立ちたくない、集団の中の一部でいていたいという志向が強まると、それは同調という圧力に変わる。
個の主体性を発揮することもなく、「目立つ行為は駄目だ。」「自らをいましめろ」「みんなと同じように」という同調圧力に変わり、結局、この空気が広まることによって、更にいい子症候群の若者が増えていく。
やりたいことを見つけ、成長を実感する
以上のように、いい子症候群の若者の問題は非常に深刻だ。
もっと上げればキリがないが、ここではこのくらいにとどめておく。
彼らは周囲からは一見「素直でマジメな人だ」と肯定的に思われるが、実際はそんなことはないということがわかっただろう。
彼らには意思がない。今まで周囲と同調しながら生きてきたので、自分の意思で何かを決断、選択することが出来ない。
そんな彼らは学生時代はヨコ並びで思考停止で生きていたが、いずれはそのことに身をもって気づくことになるだろう。
そこで、いい子症候群の若者が今すべきことはなにか。
それは、「自分がやりたいことは何か?」と本気で自分一人で考えることだ。
それは既に自分の中にあるはずだ。
今まで周囲の人間の声にかき消されていた心の声に耳を傾けるのだ。これは一人でじっくりと腰を据えて考えてほしいことだ。
今の大学生は意外と忙しいと思うが、今の自分を客観視するためにも、一人で「自分の内面」としっかり向き合ってほしい。
そして次に、「自分が日々、成長している」ということを感じるということ。
いい子症候群の若者はとにかく自信がない。それは私も例外ではない。
しかし私たちは毎日生活をしていて何かしら成長をしているはずなのだ。
私の場合は、このブログ記事を更新できたことが、今日の成長だ。
こうして些細な事からでもいいから自分の自己肯定感、自信をつけていく。
私も学校にも通えずコミュニケーションもまともにとれない社会不適合者だ。いい子症候群の傾向もかなりある。
そんな私も、あまり自分を否定せずに毎日成長を実感しながら生きていこうと思う。
それでは。
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